コーチング1では「学習障害(LD)」「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」「自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群、高機能自閉症、広汎性発達障害)」などの発達障害の診断名の有無よりも、お子さんの発達の特性を正確に把握し、対策を講じることを重視しています。
発達の特性を掴むには、診断テストが有効です。
世界で最も一般的な診断テストはWISC-Ⅳです。
WISC-Ⅳは5歳0カ月~16歳11カ月の子どもを対象にしており、全体的な認知能力を表す全検査IQ(FSIQ)と、4つの指標のIQを算出します。
これにより分野ごとの発達の状態をIQで把握することができます。
ただし、機関によっては必ずしも細かな診断結果を発行しないところがあり、数字だけの結果を渡され、困惑する方も少なくありません。
以下の4つの指標について、それぞれの検査の目的を解説していきます。
1.VCI(言語理解指標)
言語理解は言語的な情報や、自分自身が持つ言語的な知識を状況に合わせて応用する能力です。さらに以下の分野に分けられます。
1)類似
・論理的なカテゴリー的思考力
2)単語
・言語発達水準
・単語に関する知識
3)理解
・実際的知識を表現する力
・過去の経験や既知の事実を正確に評価する力
2.PRI(知覚推理指標)
知覚推理は視覚的な情報を取り込み、各部分を関連づけて全体としてまとめる能力です。さらに以下の分野に分けられます。
1)積木模様
・全体を部分に分解する力
・非言語的な概念(解法の法則性など)を形成する力
・自分が考案した空間構想に対象を位置付ける力
2)絵の概念
・カテゴリー的な思考能力
・衝動的反応の抑制能力
3)行列推理
・パターンやアイデアにおける関係性を理解する力
・空間分析能力
・視覚的記憶
・衝動的反応の抑制能力
3.WMI(ワーキングメモリ指標)
ワーキングメモリは注意を持続させて、聴覚的な情報を正確に取り込み、記憶する能力です。さらに以下の分野に分けられます。
1)数唱
・聴覚的短期記憶
2)語音整列
・情報の系列化
・継次的処理能力
4.PSI(処理速度指標)
処理速度は視覚的な情報を事務的に、数多く、正確に処理していく能力です。さらに以下の分野に分けられます。
1)符合
・指示に従う力
・動作の機敏さ
・事務処理の速度と正確さ
・視覚的短期記憶
2)記号探し
・視覚的探索の速さ
私たちはこのように診断テストの結果も重要な材料として活用し、お子さんの発達の特性を把握します。 そのため、お子さんに最適な発達指導が可能となります。